日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸sm癌とpm癌の臨床病理学的検討
加藤 忠浅井 俊夫岡村 正造山口 初宏濱島 英司山本 義樹木下 治
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1989 年 31 巻 6 号 p. 1501-1509_1

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抄録

1983年1月より1987年9月までに経験した大腸sm癌30例35病変とpm癌26例27病変を対象に臨床病理学約検討を試みた.同期間の全大腸癌は324例342病変でsm癌,pm癌の全大腸癌に占める割合は各々10.2%,7.9%であった.平均年齢はsm癌が58.7歳,pm癌が60.9歳で,性別はsm癌の70%,pm癌の58%が男性であった.主訴はsm癌,pm癌とも血便が50%以上を占めたが,sm癌では無症状ないし不定愁訴例が47%あった.便潜血反応はsm癌の52%,pm癌の70%が陽性であった.病変部位はsm癌の77.1%,pm癌の88%が直腸,S状結腸にみられた.肉眼型はsm癌ではIp型13例,Is型9例,IIa型4例,IIa+IIc型7例,分類不能2例と多彩であったが,pm癌では27病変中Borr 1型の1例と特殊型の2例を除く24病変がBorr 2型であった.病変の大きさはsm癌が平均1.8cm,pm癌は平均3.7cmであった.病理学的にはsm癌のIp型では13病変中12病変,Is型では9病変中6病変,IIa及びIIa+IIc型では11病変中6病変とpm癌の27病変中10病変が高分化型腺癌であった.また,sm癌では腺腫部分を伴った例が67%(Ip型93%,Is型63%,IIa型25%,IIa+IIc型43%)あったが,pm癌では1例(3%)のみであった.

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