1989 年 31 巻 6 号 p. 1510-1515_1
過去11年間に当施設で胃液検査を行った171例の胃腺窩上皮性過形成性ポリープ(以下腺窩上皮ポリープ)のうち,最高酸分泌量(MAO)が5mEq/h以上であった10例13病巣について検討した結果,10例中9例が女性で,7例が50歳以下と,通常の腺窩上皮ポリープと比較し女性に多く,若年傾向にあった.また,形態的に8例が単発で,胃体上部,特に噴門部に5例が発生していた.腺窩上皮ポリープでは高率に胃酸分泌の低下を認めるが,今回報告したような正酸のものもあり,それらには,女性で若年傾向,単発,噴門部に好発するなど,比較的共通する形態的な特徴が認められ,通常の腺窩上皮ポリープとは,発生要因に差異がある可能性が示唆された.