日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸メラノーシスの臨床病理学的検討
―胃メラノーシス症例を含めて―
村田 育夫牧山 和也横田 実田中 俊郎梅根 良彦西山 高志山下 豊岩永 整磨山崎 和文杉山 英一郎今西 建夫原 耕平
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1989 年 31 巻 6 号 p. 1516-1527

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抄録

極めてまれとされている十二指腸メラノーシスの5例を経験し,過去の報告例と併せて,その臨床像,内視鏡所見,組織化学所見,電顕所見などについて検討を加えて報告した. 症例1は74歳,女性.十二指腸球部,下行部から空腸上部まで黒色の色素沈着を認めた.降圧剤の変更により色素は消失した.症例2は51歳,男性.十二指腸球部より空腸移行部まで色素沈着を認め,胃メラノーシスと大腸メラノーシスを合併していた.症例3は70歳,男性.十二指腸に色素沈着をみたが,鉄染色陽性でメラニン染色陰性であった.症例4は69歳の男性,症例5は46歳の男性であった.過去の報告例と併せると,色素のメラニン染色や鉄染色に対する反応はさまざまであるが,時期による変化の可能性が考えられた.高血圧や腎不全,上部消化管出血などの合併が多く,降圧剤や出血が色素の由来として想定された.今後,症例の増加が期待される.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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