最近6年間で16例,0.21%の虫垂部の病変を内視鏡的に見いだした.その内訳は虫垂翻転断端部10例,盲腸変形4例,クローン病疑診1例,重積症1例の計16例であった.虫垂翻転断端部を始めとして盲腸,虫垂領域に認められた病変は虫垂切除術に関連することが多く検査前に虫垂切除術の有無を聴取しておくことが診断上最も重要であった.虫垂重積症やクローン病疑診例などの稀な症例も経験した.虫垂部病変の頻度は低いが,大腸内視鏡検査に際しては盲腸まで挿入し,盲腸部病変の見逃しをなくすためにも虫垂開口部の確認を行わなければならない.