1989 年 31 巻 6 号 p. 1556-1562_1
症例は54歳の男性.昭和61年9月より下痢が続き62年3月に当院を受診,精査治療のため,入院した.胃X線,小腸X線,注腸X線検査で胃から直腸までにび慢性,連続性に多発ポリープを認め胃,大腸生検組織よりMultiple lymphomatous polyposis of the gastrointestinal tractと診断した.組織学的に悪性所見に乏しく消化管外に病変を認めないため,経過観察中,患者の自覚症状は消失した.5カ月後の大腸X線検査,内視鏡検査でポリープ数の明らかな減少を認めた.9カ月後の大腸X線検査で病変の再増悪を,認めないため,現在も無治療で経過観察中である.