日本消化器内視鏡学会雑誌
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Intraluminal Duodenal Protrusion(IDP)の1例
河口 剛瀧島 常雅西山 保比古大畠 敏保木村 泰三
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1989 年 31 巻 6 号 p. 1565-1568_1

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抄録

十二指腸内腔に突出した,正常十二指腸壁より構成された紐状の組織を有する一症例を経験した.症例は74歳の男性で,1988年3月26日,右季肋痛発作で当院を受診,腹部超音波検査で胆嚢結石,胆嚢炎を指摘され,入院となった.入院後,内視鏡検査で十二指腸下行脚に基部を有する細長い紐状の隆起性病変を発見した.4月28日,胆嚢摘出に際し,十二指腸壁を切開し,外科的にこの隆起性病変を摘出した.肉眼的には,あたかも黛虫垂。が管腔内に突出したかのような外観を有し,周囲粘膜には,憩室等の異常を全く認めなかった.組織的には,正常な十二指腸粘膜で被われ,Brunner腺の増生した粘膜下組織を有し,同様な形態を呈することのある粘膜橋とも区別されるものであった.これは,最近提唱された,Intraluminal duodenal protrusion(IDP)という概念に相当するものであると考え,文献上,海外及び本邦を通じ2例目の症例として報告する.

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