日本消化器内視鏡学会雑誌
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腸管子宮内膜症の2例―本邦報告例78例の検討を含めて―
松隈 則人松尾 義人鶴田 修池田 英雄井上 林太郎佐々木 英豊永 純谷川 久一清水 正彦大北 亮白水 和雄磯本 浩晴日高 令一郎中野 道泰吉田 晃治
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1989 年 31 巻 6 号 p. 1577-1584_1

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抄録

S状結腸に発生した腸管子宮内膜症の2例を経験したので本邦報告例78例の検討を加え報告する.症例1は右下腹部痛を主訴として入院した39歳の女性で,注腸造影と大腸内視鏡検査により大腸粘膜下腫瘍が考えられた.生検では確診は得られなかったが腸管子宮内膜症を疑い手術を施行し,組織学的検索によりS状結腸の固有筋層内に子宮内膜組織を認めた.症例2は月経時の血便を主訴として入院した34歳の女性で,注腸造影と大腸内視鏡検査によりS状結腸に頂部に発赤した陥凹を有する隆起性病変を認め,生検により粘膜内に子宮内膜症類似の腺管を認めた.術後の組織学的検索ではS状結腸粘膜内および固有筋層内に子宮内膜組織を認めた.本邦報告例78例を集計し年齢,症状,部位,大きさ,形態,診断および治療に関して検討した.生検により確診が得られたものは6例にしかすぎず,月経前期および月経時に生検を施行するべきだと考えられた.

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