抄録
本邦では稀なMultiple lymphomatous polyposis(以下MLP)の1例を経験したので報告する.症例は57歳女性.昭和58年12月,近医でRLHの診断を受けた.昭和62年1月ごろから体重減少が出現したため同年4月13日秋田大学第1内科に入院した.入院時身体所見では,後頸部に孤立性のリンパ節腫大を認めた.胃十二指腸球部の粘膜襞は肥厚し,十二指腸下行脚から横行結腸に,白色調,小~扁平類円形のポリープ状病変が多発していた.その他,空回腸には口唇様の腫瘤が点在していた.病変部からの生検所見は,いずれもB-cell typeの悪性リンパ腫で,Diffuse medium sized cell type(LSG),Diffuse small cleaved cell type(WF)であった.以上の結果からMLPと診断した.VEPAを中心とした化学療法により,体重は増加し,回腸末端部以外の病変はほぼ消失した.本邦で報告されたMLP18例について文献的考察を加えた.