日本消化器内視鏡学会雑誌
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術前診断された十二指腸カルチノイドの2例
―高ガストリン血症の1例を含む―
菅井 有高山 和夫狩野 敦藤巻 英二鎌田 広基安宅 龍一郎斉藤 裕折居 正之佐藤 俊一冨地 信和千葉 ゆかり葛 但寛小野寺 勲
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1989 年 31 巻 7 号 p. 1833-1841_1

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抄録

症例1は47歳女性で心窩部痛を主訴に受診した。血清ガストリン値が高値の他は異常所見はなかった.上部消化管造影及び内視鏡検査で十二指腸球部に半球状の隆起性病変を認めたため,strip biopsy手技にて,生検し,カルチノイドを認めたため腫瘤核出術を施行した.摘出標本で,粘膜下層に限局する4×7×7mm大の腫瘍を認めた.ガストリンは腫瘍内に証明されなかった.症例2は73歳女性で,上部消化管造影及び内視鏡検査で十二指腸球部に亜有茎性のポリープを認めたためポリペクトミーを施行した.十二指腸粘膜固有層に限局するカルチノイドであった.十二指腸カルチノイドは自験例も含めて145例の報告例があるが,術前診断されたのは24例のみであった.また高ガストリン血症を伴っている例はわずかに6例で,自験例ではこれに加え,生検標本で胃体部の萎縮性変化から,A型慢性胃炎との関連も示唆された.ポリペクトミーの適応についても考察を加えた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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