日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃過形成性ポリープの背景胃粘膜
―胃酸分泌,血清ガストリン値および血清ペプシノーゲンI値からの検討―
春間 賢隅井 浩治木村 学吉原 正治森川 章彦豊島 仁梶山 梧朗忌部 明日高 徹末永 健二
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1989 年 31 巻 8 号 p. 2051-2059

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抄録
胃過形成性ポリープ128例について,健常者230例を対照とし,胃酸分泌,血清ガストリン値および血清ペプシノーゲンI(以下PGI)値から,背景粘膜の病態を検討した.胃過形成性ポリープでは,健常者と比較すると,胃酸分泌および血清PGIの著しい低下と血清ガストリン値の著しい上昇が認められ,その背景粘膜はStrick-landらのA型胃炎に類似していた.胃過形成性ポリープを個数別にみると,単発例に比し多発例でより胃酸分泌の低下と血清ガストリン値の上昇が著しく,また,発生部位では,幽門腺領域に発生したものに比し,胃底腺領域のものでより血清ガストリン値の上昇と血清PGI値の低下が著明であった. これらの結果から,胃過形成性ポリープでは,胃底腺粘膜を中心とした萎縮性胃炎が存在するが,その程度や進展様式はポリープの個数(単発か多発か)や発生部位により異なることが明らかとなった.
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