日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃梅毒の1例
星野 洋鬼塚 俊夫高原 理小原 淳市川 和男市川 正章
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1989 年 31 巻 8 号 p. 2149-2153_1

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抄録

症例は26歳,女性.昭和62年7月5日頃より心窩部痛,嘔気が出現したため当科を受診した.胃X線検査,内視鏡検査を施行したところ,胃角小彎に不整型の潰瘍,胃前庭部に不整な粘膜の隆起,発赤,浮腫が認められ悪性リンパ腫等を疑った.しかし,生検では形質細胞を主体とする細胞浸潤は認めたものの悪性の所見は認められなかった.胃梅毒を疑って血清梅毒反応を行なったところ陽性であり,BAPCの内服投与を開始すると速やかに症状,胃X線,内視鏡検査所見の改善がみられた.以上のような経過,検査所見から胃梅毒と診断した.胃梅毒の早期診断には検査所見等に加えて,病歴の詳しい聴取,正確な現症の把握などが肝要であると考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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