日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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クローン病手術症例の長期経過観察例の検討
下山 孝俊高平 良二草野 裕幸清水 輝久中越 享平野 達雄三浦 敏夫富田 正雄牧山 和也飛永 晃二國崎 忠臣太田 勇司橋本 芳徳
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1989 年 31 巻 9 号 p. 2386-2394

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抄録
外科的切除後5年以上経過したクローン病22例について術後再発7例と切除時に病変を遺残した5例を中心に検討した.1)再発率は41.2%で,広範囲の縦走潰瘍およびaphthoid ulcerを伴った症例が多く,とくに術前に内科的治療が行われた小腸型は平均8カ月と早期に再発した.敷石形成型の小腸・大腸型の再発率は低く,比較的長期にわたり良好に経過した.2)再発部位は吻合部中心領域で,再発後の経過は術後内科的治療の影響も関与して病変の進展は遅かった.2例が術後5年6カ月,9年8カ月目に狭窄のため再切除された.3)病変を遺残した5例では,吻合部病変はほぼ再発例に準じた経過を示し,aphthoid ulcerは内科的治療にて一時期消失した.再切除例はない.しかし,skipにみられたS状結腸病変は長期にわたり難治性であった.広範囲の病変では,本疾患の病態上,微細病変は遺残して切除し,術後は内科的治療をあわせて行うのが有用と考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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