日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃粘膜下腫瘍様の形態を呈した早期胃癌の1例
早部 好美羽白 清辻村 大次郎松井 洋勝山本 俊夫
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1989 年 31 巻 9 号 p. 2440-2445_1

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抄録
症例は63歳,女性.主訴は心窩部不快感.胃X線及び内視鏡検査にて胃体下部前壁に中心陥凹を有する山田III型の粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.生検にて胃癌と診断し胃亜全摘術を施行.腫瘤は7×8mmで病理組織学的には,粘膜欠損部に限局して異型細胞が腺管構造を呈しながら粘膜下異所腺を伴い粘膜下組織にまで増殖浸潤し,さらにその深部に主に膠原線維の著明な増生を認め,深達度Smの中分化型腺癌であった.粘膜下腫瘍様の形態を呈した早期胃癌の報告例は極めて少ないが,本症例は,病理組織学的に粘膜下異所腺に併存した胃癌であり,さらに粘膜隆起の主因が膠原線維であるという点で特異的であると思われたので,ここに文献的考察を加えて報告する.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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