1990 年 32 巻 11 号 p. 2541-2548
消化器癌の螢光内視鏡診断を確立することを目的とし,新たに機器を開発し,装置の性能を検討した.まず,SLT社製YAGレーザーより1,064nmのレーザー光を発振させKTP素子を用いて532nmに変換した後,分光器を介してフェオフォーバイト溶液に照射した.一方,受光側としては,今回開発した高精度分光器を用いて螢光の分光分析を行った後,浜松フォトニクス社製フォトマルを用いて測定した.その結果680nmにピークをもつ600~800nmまでの螢光が観察された.その性能を調べるためにフォトマルの印加電圧,検体の濃度,レーザー出力と周波数,検体までの距離と得られる螢光強度との関係を検討した結果,本措置は従来報告されている装置に比して極めて微弱な螢光の検出が可能であり,消化器癌に対する螢光内視鏡診断の有力な手段になり得ると考えられた.