日本消化器内視鏡学会雑誌
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32 巻, 11 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 崎田 隆夫
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2539-2540
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 徐 以政, 塚田 英昭, 上田 俊二, 大熊 稔, 酒井 正彦, 大工園 則雄
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2541-2548
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     消化器癌の螢光内視鏡診断を確立することを目的とし,新たに機器を開発し,装置の性能を検討した.まず,SLT社製YAGレーザーより1,064nmのレーザー光を発振させKTP素子を用いて532nmに変換した後,分光器を介してフェオフォーバイト溶液に照射した.一方,受光側としては,今回開発した高精度分光器を用いて螢光の分光分析を行った後,浜松フォトニクス社製フォトマルを用いて測定した.その結果680nmにピークをもつ600~800nmまでの螢光が観察された.その性能を調べるためにフォトマルの印加電圧,検体の濃度,レーザー出力と周波数,検体までの距離と得られる螢光強度との関係を検討した結果,本措置は従来報告されている装置に比して極めて微弱な螢光の検出が可能であり,消化器癌に対する螢光内視鏡診断の有力な手段になり得ると考えられた.
  • 清水 誠治, 大塚 宏友, 磯 彰格, 岡村 雅子, 佐藤 敬美, 中沢 敦子, 青木 美博, 多田 正大, 杉本 よう正, 川本 一柞, ...
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2549-2554
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸癌13症例14病変を対象に大腸癌術前評価におけるMiniature Ultrasonic Probe(MUSP)の有用性を大腸用超音波内視鏡CF-UM3との比較のもとに検討した. 病変描出率はMUSPでは14病変中11病変(78.6%)であったのに対し.CF-UM3では14病変中8病変(57.1%)と前者でより高率であった.CF-UM3で描出率がより低値を示したのは,高度の狭窄を伴う病変の描出が困難であることに起因していたが,MUSPを用いても屈曲部に位置した病変の描出は困難であった. 深達度正診率はMUSPでは病変描出が可能であった11病変中9病変(81.8%)であったのに対し,CF-UM3では病変描出が可能であった8病変中7病変(87.5%)と後者でより高率であり,特にMUSPでは隆起型の病変での超音波減衰が誤診の原因であった. 傍腸管リンパ節腫脹の描出については,CF-UM3では病変を描出しえた6例中,術後にリンパ節転移が証明されたのは3例であり,その全例でリンパ節腫脹を描出しえた.一方,MUSPでは病変を描出しえた10例中,術後にリンパ節転移が証明されたのは4例で,そのうちリンパ節腫脹を描出しえたのは1例(25%)のみであった. 現時点ではなおMUSPの画質はCF-UM3に比べはるかに劣っており,微細な浸潤やリンパ節腫脹の評価を行う上で画質の改善が最優先課題であると考えられた.
  • 五十嵐 正広, 勝又 伴栄, 山本 佳正, 小林 清典, 三富 弘之, 西山 和男, 本間 二間, 西元寺 克禮, 瀬川 謙一, 中 英男
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2555-2561
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的大腸ポリペクトミー後経過観察を行った209例を対象とし,ポリペクトミー後の経過観察の意義及びその適切な期間,方法などにつき検討した.再発見率は初回検査が腺腫単発例で34.4%,多発腺腫例では55.2%と多発例での再発見率が高い.再発見された腺腫の51.2%は右側結腸に分布しており,フォローアップ時,特に右側の結腸の観察には充分な注意が必要である.再発見された腺腫の83%は2年以内の再発見であり,この間のフォローアップは見逃し例の拾い上げの意味も含め重要と思われる.ポリペクトミー例は大腸癌のhigh risk群として,フォローアップが必要である.切除後のフォローアップのプログラムとしては早期癌例では6カ月後,その後1年毎,腺腫多発例では1年毎,単発例では2年毎としclean colonとなった場合各群とも2~3年毎が効率的と思われた.
  • 橋本 洋, 光永 篤, 中尾 京子, 千葉 素子, 加藤 明, 春木 宏介, 横山 聡, 村田 洋子, 鈴木 茂, 黒川 きみえ, 小幡 裕 ...
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2562-2569
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     超音波内視鏡像(以下EUS)により胃筋原性腫瘍の良悪性鑑別診断を試みた.特に腫瘍径5.0cm以下の平滑筋肉腫と平滑筋腫のEUS像の相違点を検討した.対象はいずれも当センターにてEUS施行後,手術摘出された12例で腫瘍径により次のように分類した.A群:腫瘍径5.0cm以下の平滑筋腫(LM)5例.B群:腫瘍径5.0cm以下の平滑筋肉腫(LS)3例.C群:腫瘍径5.0cm以上のLS3例,LM1例.エコー像は辺縁エコー像の整不整,腫瘍内部エコー像の整不整,内部の低エコー域の有無,さらに分葉像の有無を検討した.その結果C群では低エコー域と分葉像は全例に,辺縁の不整は不明例1例を除き全例に,内部エコーの不整は1例に認めた.A群では辺縁不整,内部エコーの不整例各1例を認めた.B群では辺縁の不整は全例で内部エコーの不整と分葉像は2例で,低エコー域は1例で認めた.エコー像と病理組織像とを対比すると辺縁エコー不整例のうち4例は2つの分葉の境界部の奨膜が内側へひきつれて描出されたものであり,低エコー域は壊死組織あるいはそれらの吸収された後の嚢胞様の組織であった.内部エコーの不整は小域死組織,分葉の間質を示している例各1例を認めた.以上より腫瘍径5.0cm以下の症例でもLS例ではLM例に比較してこれら4つの所見を認める例が多く,とくに2つ以上認める例はいずれも平滑筋肉腫であった.
  • 赤木 博, 道中 智恵美, 伊勢谷 和史, 上平 博司, 小西 英幸, 若林 直樹, 岡野 均, 福田 新一郎, 布施 好信, 児玉 正, ...
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2570-2576_1
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     皮膚筋炎や黒色表皮腫などの皮膚疾患は内臓癌と合併しやすいことが知られている.われわれは過去10年間に11例の消化管悪性腫瘍を合併した皮膚疾患を経験した.内訳は皮膚筋炎+胃癌4例,黒色表皮腫+食道癌1例,黒色表皮腫+大腸癌2例,黒色表皮腫+胃癌+大腸癌1例,環状紅斑+胃癌1例,水庖性類天庖瘡+胃癌1例,角層下膿庖症+胃癌1例で,平均年齢は68歳,男性4例,女性7例であった.治療は手術7例,化学療法4例,ポリペクトミー1例で11例中2例に治療後皮膚症状の軽快をみた.
  • 岸田 輝幸, 南 定, 山門 進, 玉川 恭士, 田口 文彦, 吉田 豊, 小林 正文, 野村 武夫
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2577-2584
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ファイバースコープ(FCSL50,町田製作所,以下FCS群)と電子内視鏡(TCE50L,東芝,以下TCE群)による大腸ポリープ発見率の比較を行った.total colonoscopy施行例はFCS群1,182例,TCE群730例,ポリープ症例はそれぞれ193例(16.3%),199例(27.3%)で,ポリープ発見率はTCE群の方が有意に高かった(P<0.005).ポリープの数はFCS群324個(1.7個/例),TCE群532個(2.7個/例)であった.ポリープの占拠部位はTCE群の方が横行結腸(18.0%vs.10.2%),下行結腸(13.2%vs.10.5%)で高く,S状結腸(35.5%vs.45.7%)で低く,ポリープの数についても同様の成績であった.大きさ別の比較ではTCE群で10mm以下,特に5mm以下の割合が高く(54.5%vs.46.9%),また,ポリープの数は著増していた.大腸各部位における大きさ別の比較ではTCE群で5mm以下の直腸ポリープの割合が明らかに高かった(73.5%vs.58.7%)が,その他の部位では差はみられなかった.10mm以下のポリープの数はどの部位でもTCE群で明らかに多かった. 以上より,電子内視鏡は大腸ポリープの拾い上げ診断上有用と考えられた.
  • 井戸 健一, 澁澤 公行, 佐藤 信一, 礒田 憲夫, 大谷 雅彦, 川本 智章, 中沢 義明, 鈴木 孝典, 木村 健
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2585-2590
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     犬を用いてNd-YAGレーザーによる胆嚢の剥離,摘出を腹腔鏡下で行った.胆嚢動脈及び胆嚢管の結紮は血管結紮用のクリップを用いた.また剥離のためのNd-YAGレーザーの照射は,非接触型のクオーツを用いて,出力15W,総エネルギー4,000~5,000Jであった. 最適な用具を揃える必要性,手技の習熟,外科医との協力など,多くの必須条件が存在するものの,本法は十分に臨床応用可能であると判断した.
  • 清崎 浩一, 寺中 正昭, 根井 仁一
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2591-2597_1
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     幽門側胃切除術後の18例(ビルロートI法10例,ビルロートII法8例)を対象として胆汁逆流性胃炎の内視鏡的,組織学的検討を行うとともに,胃液内胆汁酸組成の分析を行った.6例についてはウルソデオキシコール酸(UDCA)を4週間以上投与し,その変化についても検討した.逆流性胃炎の内視鏡所見はビルロートI法よりビルロートII法において胃炎の程度は強く,組織学的にも同様の傾向であった.胃液内胆汁酸組成では,ビルロートII法でケノデオキシコール酸(CDCA)の比率がビルロートI法に比べ高率であった.UDCA投与によって6例中4例に自覚症状の改善が,内視鏡所見では全例に改善が認められ,胃液内の胆汁酸組成の変化ではUDCAの比率の著明な上昇とCDCAの比率の減少が認められた.以上より,UDCAは胆汁逆流性胃炎に有用と考えられた.
  • ―食道結核本邦報告例42例の検討―
    佐野 真, 杉岡 篤, 五月 女恵一, 江崎 哲史, 奥田 康一, 住山 正男, 堀部 良宗, 吉崎 聰
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2598-2609
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     脊椎カリエスに伴う流注膿瘍の穿破による結核性食道潰瘍の1例を報告し,自験例を含む食道結核の本邦報告例42例につき検討を加えた.症例は61歳男性.胸部上部食道の右前壁に潰瘍性病変を認め,表在陥凹型食道癌を疑い生検を行うも病理組織学的に悪性像は証明されず,その後1カ月で潰瘍は自然に消退し瘻孔の形成をみた.諸検査にて第2,第3胸椎の脊椎カリエスとそれに伴う流注膿瘍が発見され膿瘍の食道穿破による潰瘍形成と診断,抗結核療法を開始したところ瘻孔は18日間で完全に閉鎖した.脊椎カリエスに対しては病巣掻爬,前方固定術を施行,術後1年2カ月の現在のところ経過良好である.脊椎カリエスに続発した食道結核の本邦報告例はこれ迄わずかに2例しかなく,本例は脊椎カリエスにより表在陥凹型食道癌類似の食道潰瘍が形成され,その後縮小,瘻孔形成,癩痕治癒に至る経過を追跡し得た最初の症例である.食道結核42例の検討から 1)食道結核の肉眼形態は多彩であり,8型に分類出来る.形態学的に診断を下すことは困難であるが,その経時的な変化は重要な特徴である. 2)食道結核の診断は,内視鏡下食道生検,ツベルクリン反応,胸部単純X線撮影,結核菌検査等により可能である. 3)抗結核療法の有用性が高く,治療の第1選択とすべきである. という結論を得たので併せて報告する.
  • ―本邦報告例の文献的考察―
    中田 博也, 奥 篤, 坂辻 喜久一, 吉岡 美咲, 土井 みさこ, 宮本 久夫, 谷内 俊文, 中山 恒夫, 西岡 新吾, 矢高 勲, 大 ...
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2611-2617_1
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     重複悪性腫瘍(重複癌)は増加の傾向にあり,食道癌と胃癌の重複癌も増加してきている.しかし,食道癌術後の再建胃管から発生した胃癌は稀である.今回,われわれは早期食道癌術後の再建胃管から発生した胃癌の1例を経験したので本邦報告38例の文献的考察を加えて報告する. 症例は59歳,男性.5年前に食道癌(扁平上皮癌)のために食道亜全摘術を受けた.吐血,食物の通過障害を主訴として来院.上部消化管造影や内視鏡検査では胸部上部食道から再建胃管に全周性の狭窄を認め,生検標本で乳頭状腺癌と診断した.また肝臓に多発性転移巣を認めた.人工食道挿入等を施行し症状の改善をみたが,その後全身状態徐々に悪化し2カ月後に死亡した.今後,食道癌治療の向上等により再建胃管から発生する癌の増加が予想され,術後も内視鏡検査による経過観察が重要と思われる.
  • 久保 達哉, 伊達 弘一, 井下 俊一, 福山 時彦, 大城戸 政行
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2618-2625
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は72歳の男性,下血を主訴に入院.小腸X線検査で,トライツ靱帯より約60cm肛門側の空腸に,約3.5cmにわたる限局性の狭窄像を認めた.口側の拡張は認めず,病変部との境界は比較的なめらかで悪性リンパ腫を疑った.また,腹部超音波検査,腹部CTでも同部位に腫瘤を認めた.術中内視鏡では皺襲が腫大し,粘膜面は粗ぞうで粘膜集中を伴い,病変部の境界は肉眼的には不鮮明で,一部に微細穎粒状隆起を伴っていた.腸間膜リンパ節を含めた,小腸部分切除を施行した.切除標本の組織診断は,Malignantlymphoma,small cell typeであり,免疫組織染色でphenotypeはB cell typeであった.現在外来にてCHOPによる化学療法を施行し,経過観察中である.
  • 山崎 一信, 関谷 又一郎, 鴨下 宏海, 空閑 和人, 新井 豊彦, 戸島 恭一郎, 鬼沢 信明, 今井 深, 亀田 治男
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2627-2631_1
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的に十二指腸球部腫瘤が存在し,静脈瘤を証明しえた肝外門脈閉塞症の1例を報告した. 症例は25歳男.腹痛のため近医を受診,各種検査にて食道静脈瘤,脾腫を指摘され,精査のため当科入院となった.腹水,黄疸なく,血液検査上肝障害を認めなかった.上部消化管内視鏡ではCBF3LSRC(+)Lg(+)の静脈瘤があり,十二指腸球部には前上壁から内腔に向かって大きく卵円形に突出する弾性軟の腫瘤が見られた.腹部超音波検査で,肝門部に著しく拡張,蛇行した血管が見られた事から,十二指腸球部静脈瘤と考え門脈造影を施行した.門脈は肝門部で閉塞し,この部を迂回して拡張,蛇行した求肝性側副血行路が肝臓に流入していた.十二指腸球部静脈瘤は本例のように求肝性側副血行路によるものが多く,原疾患としては肝外門脈閉塞症が重要である.十二指腸球部腫瘤の鑑別診断においては,本症も念頭におき,要すれば門脈系の精査を行うべきである.
  • 堀田 総一, 樫村 博正, 斉藤 洋子, 海老原 次男, 中原 朗, 山形 迫, 小山 捷平, 武藤 弘, 福富 久之, 大菅 俊明, 伴 ...
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2632-2639
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は49歳,男性.下痢,味覚異常,脱毛を主訴に当科を受診した.家族歴に特記すべきものなし.入院時身体所見は,爪萎縮を認める他は異常なし.上部消化管内視鏡検査にて,胃のほぼ全域に半球状の小隆起が無数に認められた.生検組織は,嚢胞状拡張を伴う異形成の弱い過形成性腺管で間質の浮腫と細胞浸潤を伴う若年性ポリープ様の所見を呈していた.注腸検査により直腸を除く全大腸に無数の米粒大の隆起が認められた.また,これらの隆起とは明らかに形態の異なる径1cm前後の有茎ないし亜有茎性ポリープが8個認められ,ポリペクトミーを施行した.組織学的に,3個は腺腫,1個(径9mm,亜有茎性)は深達度mの管状腺癌であった.以上より多発性大腸腺腫と早期大腸癌を合併したCronkhite-Canada症候群と診断した.本症候群のポリープは一般に異形成の弱い過形成性ポリープとされ,癌,特に早期癌の合併は文献上極めて稀であるため報告した.
  • 徳山 猛, 東口 隆一, 辻本 正之, 山中 貴世, 夫 彰啓, 中島 啓, 坂口 泰弘, 宮高 和彦, 砂川 正興, 大貫 雅弘, 安田 ...
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2640-2645_1
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は67歳男性.頻回の粘液性下痢を主訴として来院.生化学検査では,血清Kの著明な低下と,これによると考えられる筋肉逸脱酵素の上昇を認めた.注腸造影と大腸内視鏡検査にて,直腸にビロード状の腫瘤を認め,S状結腸に山田4型のポリープおよびBorrmann3型の進行癌を認めた.生検によりそれぞれ絨毛腺腫,腺管腺腫,高分化腺癌と診断し,手術を施行.切除標本では直腸に腸管全周におよぶ広基性の腫瘤を認め,病理組織学的所見は腫瘤のほとんどの部分が絨毛腺腫であったが,一部に癌化を認め粘膜下層へ浸潤していた.S状結腸には,腺管腺腫よりなる山田4型のポリープと,ssへ浸潤した高分化腺癌よりなるBorrmann3型進行癌を認めた.術後血清Kは正常化し経過良好であったが,18カ月後S状結腸進行癌の再発のため死亡した.大腸のvillous tumorにおいて,腫瘍からの粘液分泌による電解質異常や脱水,いわゆるelectrolyte depletion syndromeをきたす例は稀であり,本邦例では自験例を含め20例にすぎない.また本例は,著明な低K血症による筋肉逸脱酵素の上昇を認めた興味ある症例と考え報告した.
  • 脇谷 勇夫, 山本 博, 土居 偉瑳雄, 日野 直紀, 千先 茂樹, 矢野 慧, 小笠原 敬三, 高三 秀成, 能登原 憲司, 山本 寛
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2646-2655
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     潰瘍性大腸炎に合併した早期直腸癌の2例を報告した. 第1例は58歳の男性で,18年間経過した全大腸炎型の症例である.下痢が増加したためおこなった大腸X線検査で,直腸にIIa+IIc様病巣を認めた.早期直腸癌の診断で経肛門的腫瘍切除術が施行された.わずか4カ月後に直腸手術創の近傍に漿膜にいたるBorrmann I型様腫瘤を含む癌病巣が4カ所出現した. 第2例は,72歳の女性で11年間経過した左側結腸炎型の症例である.大腸内視鏡検査を8年間毎年おこなってきたが,今回直腸に赤色の扁平隆起を認めた.早期直腸癌の診断で左側結腸切除術がおこなわれた. 組織学的には,いずれも高分化腺癌でdysplasiaを伴った粘膜癌であり,潰瘍性大腸炎を母地として発生したものと考えられた. 10年以上経過した潰瘍性大腸炎例は毎年定期的な大腸内視鏡検査をすべきであり,その際特に直腸の隆起性病変に注意して観察および生検すべきであると考えられた.
  • 東口 隆一, 徳山 猛, 砂川 正興, 錦織 ルミ子, 宮高 和彦, 坂口 泰弘, 中島 啓, 夫 彰啓, 山中 貴世, 辻本 正之, 大貫 ...
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2657-2662_1
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回われわれは,食道静脈瘤を認めない胃穹薩部静脈瘤に対し内視鏡的硬化療法を行った.症例は,出血例2例と希望により行った待期例1例.方法は,内視鏡直視下に胃静脈瘤を直接穿刺し,50%ブドウ糖液を注入した後,透視下にてイオパミロン加エタノールアミンオレートを注入した.硬化療法は約1週毎に静脈瘤が消失するまで行い,全例に静脈瘤の消失をみた.副作用は,1例にヘモグロビン尿を認めたのみで9重篤なものはなかった. 胃弩薩部静脈瘤に対する硬化療法も食道静脈瘤に対するのと同様に安全に施行出来,これにより静脈瘤を消失させることが可能であった.
  • First Bulletin (part II)-1988-
    日本消化器内視鏡学会
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2663-2679
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1990 年 32 巻 11 号 p. 2680-2791
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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