日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸癌術前評価におけるMiniature Ultrasonic Probeの有用性
清水 誠治大塚 宏友磯 彰格岡村 雅子佐藤 敬美中沢 敦子青木 美博多田 正大杉本 よう正川本 一柞川井 啓市
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1990 年 32 巻 11 号 p. 2549-2554

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抄録

 大腸癌13症例14病変を対象に大腸癌術前評価におけるMiniature Ultrasonic Probe(MUSP)の有用性を大腸用超音波内視鏡CF-UM3との比較のもとに検討した. 病変描出率はMUSPでは14病変中11病変(78.6%)であったのに対し.CF-UM3では14病変中8病変(57.1%)と前者でより高率であった.CF-UM3で描出率がより低値を示したのは,高度の狭窄を伴う病変の描出が困難であることに起因していたが,MUSPを用いても屈曲部に位置した病変の描出は困難であった. 深達度正診率はMUSPでは病変描出が可能であった11病変中9病変(81.8%)であったのに対し,CF-UM3では病変描出が可能であった8病変中7病変(87.5%)と後者でより高率であり,特にMUSPでは隆起型の病変での超音波減衰が誤診の原因であった. 傍腸管リンパ節腫脹の描出については,CF-UM3では病変を描出しえた6例中,術後にリンパ節転移が証明されたのは3例であり,その全例でリンパ節腫脹を描出しえた.一方,MUSPでは病変を描出しえた10例中,術後にリンパ節転移が証明されたのは4例で,そのうちリンパ節腫脹を描出しえたのは1例(25%)のみであった. 現時点ではなおMUSPの画質はCF-UM3に比べはるかに劣っており,微細な浸潤やリンパ節腫脹の評価を行う上で画質の改善が最優先課題であると考えられた.

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