日本消化器内視鏡学会雑誌
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過酷な条件下で発症した急性胃潰瘍の長期観察例
白浜 龍興武井 一雄野村 勉古川 一雄加藤 雅士箱崎 幸也真方 良彦大庭 健一山田 省一中川 克也佐藤 亮五
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1990 年 32 巻 12 号 p. 2865-2875

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抄録
 1978年から1989年までの12年間のレンジャー訓練生593名のうち47例(7.9%)の急性胃潰瘍(6例は十二指腸潰瘍と併存)を認め,これらのうち治癒の遷延化,再発などにより1年以上の内視鏡的経過観察を行った症例は6例(12.8%)であった. 6例中2例は訓練前内視鏡検査で潰瘍瘢痕を認めた症例であるが,4例は初発の潰瘍で4例とも治癒に5週以上を要した症例(治癒に比較的長期間を要した症例)で,4例とも訓練を契機に再発した.呈示した症例2は胃角部から胃体部中部にかけての巨大な帯状潰瘍であったが,他は胃角部を中心に認められた潰瘍で,いずれにしても胃角部中心に発生した急性潰瘍で,再発した潰瘍も同部位であった.強いストレスが持続すれば,また再度の強度のストレスに遭遇すれば,急性潰瘍も治癒が遷延化し,慢性化し,再発することが強く示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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