抄録
門脈圧亢進症を伴う肝硬変症における胃粘膜病変の病態を解明する目的で,内視鏡的に食道静脈瘤の程度との関係から検討し,あわせて病理組織的にも慢性肝炎を対照とし検討を加えた. また,内視鏡的栓塞療法(Endoscopic Injection Sclerotherapy以下,EIS)施行に伴う胃粘膜の変化についても検討した. その結果,肝硬変症においては慢性肝炎に比して胃粘膜病変の合併率が高かった.結論的には,食道静脈瘤を認める症例に胃粘膜病変の合併率が高かった.次に,肝硬変症においては肝機能の障害の程度と胃粘膜病変の程度には関連性があると推察された.また,肝硬変症における胃粘膜の生検病理組織では,毛細血管の拡張が特徴的な所見であった.しかし,門脈圧の亢進が存在しても必ずしも胃粘膜の変化や毛細血管の拡張を認めない症例も存在していた.EIS施行前後の胃粘膜の検討では,食道静脈瘤の変化と胃粘膜の変化は直接関連しなかった. 以上により門脈圧亢進症を伴う肝硬変症における胃粘膜病変の発生は,血流の変化が主体であると考えられたが,さらに局所的な要因も加味されているものと推察した.