日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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虚血性大腸炎の臨床的検討
―背景因子と内視鏡像を中心として―
大川 清孝北野 厚生中村 志郎福島 龍二岡部 弘加島 和俊小畠 昭重押谷 伸英橋村 秀親日置 正人松本 誉之菅 保夫宮城 邦栄小林 絢三
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1990 年 32 巻 2 号 p. 365-376_1

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抄録
 関連の第一線の病院における虚血性大腸炎(IC)24例(A群)と大学病院におけるIC17例(B群)を対象として,その比較も含めて臨床的検討を行った.症例が選択されていない第一線の病院の症例をみる限りは,従来の報告とは異なりICは20~70代の各年代にほぼ均等に分布しており,女性が男性の2倍みられた.また,動脈硬化関連疾患も13%と少なく,狭窄型の割合も8%と少なかった.以上のことより,従来言われてきたICの背景因子を見なおす必要があると考えられた.女性が男性より多いこと.誘因として一過性型,狭窄型に限らず便秘,下剤による下痢,トイレでのいきみ,浣腸などが半数以上にみられること,基礎疾患として左側結腸憩室症,下腹部手術の既往が多くみられること,発症時間は夕食後が多いことなどよりICの発症誘因として腸管側因子の関与が強く示唆された.時間経過と内視鏡像の関係を病型別に検討したが,2週間以内では内視鏡像にて狭窄型になるか否かの予測は困難と考えられた.しかし,3週目以降も全周性病変があるもの,5週口以降も縦走性病変があるものは狭窄型となる可能性が高いと考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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