日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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超音波内視鏡像と内視鏡所見併用による陥凹型胃癌の癌深達度診断能向上の検討
橋本 洋中尾 京子加藤 明春木 宏介横山 聡光永 篤黒川 きみえ村田 洋子葉梨 智子笹川 剛塚原 裕二佐上 俊和鈴木 茂小幡 裕
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1990 年 32 巻 3 号 p. 513-519_1

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抄録
 癌深達度診断の難しい線維化を併存した陥凹型胃癌について,内視鏡による集中皺襞像とEUSにより診断した線維化像を合わせ検討し,胃癌深達度診断成績の向上を試みた.対象は86年~88年に手術にて摘出された陥凹型早期胃癌,類似進行癌例で内視鏡所見,EUS像が検討可能な60例とした.集中皺襞の形状を変形の程度により軽度の症例からA,B1,B2,C型の4群に分類し,線維化の有無別の集中皺襞の形状と癌深達度の検討,さらに線維化併存例における集中皺襞の形状別の癌深達度と線維化深達度の関係を検討した.その結果,同型の集中皺襞では線維化非併存例の方が癌深達度が深い傾向にあった.線維化併存例ではA型とB1型の間では変形高度なB1型の方が癌,線維化深達度共に深くなる傾向にあった.一方B2型では線維化の深達度が深い症例ほど癌深達度は浅い傾向を認めた.このように内視鏡像とEUS像を合わせ検討することで胃癌深達度診断の正診率はEUSのみの診断率55%から77%と改善され,胃癌深達度診断能の向上に有用であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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