日本消化器内視鏡学会雑誌
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酸分泌抑制剤により低蛋白血症の改善がみられたMénétrier病の1例
白子 順子武知 桂史勝村 直樹山田 鉄也加藤 則広冨田 栄一武藤 泰敏下川 邦泰高井 哲
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1990 年 32 巻 3 号 p. 582-588_1

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抄録
 症例は58歳,女性.昭和60年10月より下腿の浮腫に気付いた.翌61年7月の胃内視鏡では体部大彎の巨大皺襞と体下部から前庭部にかけての粘膜の肥厚と多発するポリープを認めた.直視下生検の組織像では腺窩上皮の過形成,間質の浮腫を認めたが電顕像には異常を認めなかった.血清学的にはT.P.4.9g/dl,Alb .2.3g/dlと低下を認めた.131I-RISA試験にて蛋白漏出を認め,胃液蛋白濃度は健常人0.26g/1に対し1.7g/1と増加していた.これらの所見から低蛋白血症を伴ったMenetrier病と診断した.シメチジン800mg/day,ピレンゼピン100mg/dayの併用療法を施行した結果,6週後にはT ,P.,Albは有意に上昇し,下腿の浮腫も消失した.経過中の内視鏡像,組織像,胃液蛋白濃度に変化は見られなかった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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