日本消化器内視鏡学会雑誌
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上部消化管内視鏡検査が関連して発生した一過性全健忘の1例
城下 裕榎本 峰生木平 健佐藤 貴一笠野 哲夫吉田 行雄井戸 健一木村 健吉田 充男
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1990 年 32 巻 3 号 p. 589-592

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抄録
 上部消化管内視鏡検査の稀な偶発症として一過性全健忘の1例を報告した.症例は50歳,女性.上部消化管内視鏡検査後,患者の言動に不自然さが見られたため,状況説明をしたところ,検査前処置の頃より以後の出来事についての記憶が障害されていた.この記憶障害は検査の翌日には回復していたが,発作期間中の出来事は健忘として残った.一過性全健忘は原因不明の症候群であるが,情動ストレスが誘因となり発症する事も知られている.上部消化管内視鏡検査はある患者においては精神的にも,身体的にもかなりストレスのかかる検査と考えられ,稀ではあるが本疾患が同検査に偶発しうる事を強調した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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