抄録
最近われわれは腹部超音波検査(US),CT,ERCP,腹腔鏡下肝生検,超音波内視鏡(EUS)の諸検査および2年2カ月の経過観察で,原発性硬化性胆管炎(PSC)と考えている1症例とこれらの諸検査でもPSCとの鑑別が極めて困難であった壁在性に浸潤した胆管癌の1症例を経験した. PSC症例では,肥厚した胆管壁はEUSで高エコー,低エコー,高エコーからなる3層構造で描出され,特に第2層と第3層の肥厚像として描出された.また,ERCPでは変化のみられていない下部胆管もEUSでは壁肥厚として描出された. 一方,PSCと鑑別が困難であった壁在性の浸潤型胆管癌においては,胆管壁はEUSで第2層と第3層の著明な壁肥厚をともなった3層構造として描出され,腫瘍浸潤像は描出されず,胆管炎との鑑別が困難であった.また,本症例では,腹腔鏡下肝生検で従来特徴的とされてきたperiductal fibrosisが認められたことから,この組織像はPSCのみならず胆管癌に随伴した胆管炎でも生ずることが示唆された.