抄録
症例は60歳の女性で,粘血便を主訴に来院した.注腸法による逆行性小腸造影にてBauhin弁より約30cm口側の回腸に可動性に富み容易に重積をきたす,辺縁平滑な粘膜下腫瘍を認めた.大腸内視鏡検査では腫瘤は表面平滑で発赤調の粘膜に覆われ,一部にびらんの形成がみられた.また,CT検査にて腫瘍のCT値が-85.3HUと脂肪組織のそれに近似していたため,回腸脂肪腫と診断した.切除標本の肉眼所見では腫瘤は4.0×3.6×3.6cmで健常粘膜に覆われ,組織学的に脂肪腫と診断された.術前に質的診断の得られた小腸脂肪腫の報告は極めて少なく,本症の画像診断上の特徴とともに報告した.