日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による食道癌,胃癌のリンパ節転移診断の研究
大島 郁也
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1990 年 32 巻 5 号 p. 1059-1070

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抄録
 食道癌,胃癌のリンパ節転移診断を行う目的で,リニア型超音波内視鏡を用いて,食道癌35例と胃癌40例を対象として検討を行った. リンパ節超音波像における5つの項目,すなわち長径(L),長径と短径の比(S/L),内部エコーヒストグラム標準偏差(SD),辺縁エコー(M),内部エコー(1)について多変量解析を行った.得られたカテゴリーウェイトにあわせて,L1(5mm以下)は0,L2(6mm以上)は1,S/L1(扁平型)は0,S/L2(類円型)は1,SD1(6.0以上)は0,SD2(6.0未満)は1,M1(不鮮明)は0,M2(鮮明)は2,I1(びまん,散在)は0,I2(粗)は2の値をF=L+S/L+SD+M+Iの式に代入し,その数値とリンパ節像の集籏性により転移診断基準を作成した. F=7,6またはF=5,4で集籏像を呈するものは転移陽性,F=5,4で集籏像を呈さないものとF=3,2,1,0は転移陰性とした. この診断基準を用いた食道癌リンパ節転移正診率は84.7%,胃癌リンパ節転移正診率は86.9%であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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