日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による胆管癌の進展度診断に関する臨床的研究
―切除例における病理組織像との比較検討を含めて―
播磨 健三
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1990 年 32 巻 5 号 p. 1071-1080

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抄録
 外科手術を施行した胆管癌13症例における超音波内視鏡(EUS)の腫瘍描出能,進展度診断能について,腹部超音波検査(US),血管造影法と比較しながら検討した. EUSは胆管癌13例中11例(85%)に腫瘍描出が可能であった.一方,USでは12例中7例(58%)であった. 壁外浸潤,門脈浸潤については,EUSで腫瘍描出ができ,かつ病理組織学的検討が可能であった8例中7例(88%)で,膵浸潤については8例中6例(75%)で正診することができた.USでは,壁外浸潤,門脈浸潤,膵浸潤の有無について,腫瘍像が描出でき,病理組織学的検討が可能であった6例中4例(67%)に正診できた. 血管造影法は,腫瘍が胆管壁をこえて浸潤すれば全例で有所見を得ることができた.しかし,壁内にとどまる症例では,全例で有所見を得ることができなかった. 胆管癌の進展度診断において,非観血的検査法であるEUSは腫瘍描出能,壁外浸潤の有無の診断に優れており,今後,積極的に試みてゆくべき検査法と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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