抄録
われわれは電子内視鏡に特定パターンを投影する照明系を組み込み,病変の三次元形状を計測するシステムを開発中である. 三角測量の原理に基づくパターン投影法と格子投影型モアレトポグラフィーを採用した.基礎実験にていずれも10%以内の測定誤差であったが,自動計測が困難なことから後者の電子内視鏡への応用を断念した.パターン投影法にて電子内視鏡を用いた3次元形状計測の実験を行った.投影パターンを電子内視鏡の照明内部に組み込むことがわれわれには困難であったので,照明系は電子内視鏡の外部で,なるべく電子内視鏡に組み込んだ状態に近くなるように設計配置した.実験は数mm程度の凹凸の模型と胃の摘出標本を用いて形状計測を行った.本法を用いて胃壁の形状計測が可能であることを確認した.解析精度向上の方向を考察し,臨床応用に向けて歩前進したと思われた.