抄録
便秘,下痢など便通異常,ストレス後に,若年者に急激に発症した血便症例5例を報告した.これらの症例では,抗生剤,経口避妊薬の服用歴はなく,糞便培養で病原菌は陰性であった.内視鏡所見として,大腸に縦走潰瘍またはびらん,粘膜の高度浮腫,出血,管腔の拡張不良,大腸X線所見として,腸管の伸展不良,thumbprinting様所見,micro-niche,小バリウム斑,haustraの偏側性変形,生検所見として,間質の浮腫と炎症性細胞浸潤など非特異的炎症所見,杯細胞の減少が認められた.これらの症例が,虚血性大腸炎の範疇に含まれる病変か否かについて,従来,基礎疾患のない,若年者に発症し,虚血性大腸炎として報告された16例も含め,考察した.