日本消化器内視鏡学会雑誌
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直腸クローン病の1例
山川 正規中牟田 浩治谷岡 一原口 増穂浅井 貞宏橋本 芳徳木下 真悟村田 育夫今西 建夫牧山 和也高木 正隆原 耕平
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1990 年 32 巻 5 号 p. 1205-1211

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抄録
 症例は39歳,男性.便秘と排便後出血で来院し,直腸指診で5cm部に高度の狭窄を認めた.大腸X線検査では,肛門管から直腸の不整な狭窄と,その中に多発する小隆起を認めた.大腸内視鏡像では,同部位に立ち上がりがなだらかな隆起性病変が続いており,隆起部分は,発赤と凹凸を認め,敷石状変化も思わせる所見であった.当初,直腸癌を疑い,同部の生検を試みたが,悪性の所見は得られなかった.直腸良性狭窄を考え,直腸拡張術と再度の生検を行ったところ,非乾酪性肉芽腫を検出した.しかし,他の部位にクローン病の病変を認めなかったため,直腸クローン病と診断した.直腸クローン病は本邦では稀であり,本邦報告例を集計し,若干の考察を加えて報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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