抄録
原発性硬化性胆管炎(以下PSC)の2例を報告する.症例は60歳男性と56歳女性.ERCPで共に肝内外の胆管に不整狭窄,beaded appearanceを認めた.症例1は主訴が肝機能異常,腹痛.腹腔鏡で肝左葉表面は白色調で萎縮状.裏面は塊状に腫大突出し,表面平滑,赤褐色調で白色紋理の増強を認めた.症例2は主訴が肝機能異常.腹腔鏡で肝右葉は著明萎縮,肝左葉は著明腫大.両葉とも表面平滑,赤褐色調で白色紋理の増強を認めた.最近6年間の本邦報告55例を集計した.潰瘍性大腸炎合併例は10例で,それと肝内型PSCは若年層に多く,肝外型は高齢層に多かった.また腹腔鏡所見はこれまでの集計と自験例との計23例で見ると,び漫性胆汁うっ滞が1例,白色紋理増強が9例,白色調~大白色肝が8例,溝状陥凹が3例,肝腫大が7例,肝萎縮が1例,右葉は萎縮し左葉は腫大が自験例の1例,左葉一部に萎縮や腫大・再生塊が自験例含め2例,胆嚢内側再生塊が1例,結節肝が3例であった.