日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸用超音波内視鏡(CF-UM3)の臨床的評価
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1990 年 32 巻 8 号 p. 1926-1933_1

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抄録
 新たに開発されたオリンパス社製大腸用超音波内視鏡(CF-UM3)を用いて,150例の大腸疾患に内視鏡的超音波断層法(EUS)を施行し,本スコープの挿入性と描出された超音波画像について検討した.大腸EUSの前処置としては,Brown変法あるいは腸管洗浄液法を用いた.150例中回盲部までの挿入を試みた79例では全例に目的が達成でき,回盲部までの平均到達時間は9.3分であった.直腸から回腸末端に至る腸管壁はいずれの部位でも5層構造として描出され,特に回盲弁は第3層(粘膜下層)が肥厚していた.大腸EUSでは隣接臓器も明瞭に描出され.直腸領域では男性で精嚢腺や前立腺が,女性で子宮や膣が容易に観察された.また,脾彎曲部では左腎また脾が,横行結腸左半では膵が,横行結腸右半では胆嚢または肝が.さらに肝彎曲部では右腎また肝が明瞭に描出された.今回の新しい大腸用超音波内視鏡は挿入性に優れ,従来の試作機に比較して耐久性が向上しており,大腸全域に対するEUSにきわめて有用な機種であると評価しえた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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