日本消化器内視鏡学会雑誌
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下腹部痛に対する超音波診断と腹腔鏡診断との比較検討
―腹腔鏡検査の有用性について―
佐藤 和一林 義峰佐藤 秀一小松 寛治
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1990 年 32 巻 8 号 p. 1918-1925

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抄録
 下腹部痛を主訴とした症例に対し疼痛部位と疾患との関連について検討した.その結果,回盲部痛の四分の一は虫垂炎以外の疾患であった.また婦人科疾患に起因した下腹部痛の部位にはばらつきが見られた.下腹部痛症例32例に対し超音波検査を行ない,うち18例に腹腔鏡検査を併用する機会を得たのでおのおのの有効性について比較検討した.その結果,正診および正診,疑診,間接所見を合せた診断能をみると超音波検査では31%および62%であるのに対し腹腔鏡検査では78%および100%であり,腹腔鏡検査の方が診断率は高いと考えられた.また超音波検査で正診できず腹腔鏡検査で正診とした症例は12例あり腹腔鏡検査の有用性がうかがえる.下腹部痛の早期診断には理学的所見や通常の検査後画像診断の第一選択として超音波検査を行ない,確定診断に苦慮した場合は腹腔鏡検査の併用が非常に有効な方法と考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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