抄録
高圧酸素療法を施行し,経過中多彩な内視鏡所見を呈した重症虚血性大腸炎の1例を報告した.症例は71歳の女性で,突発する下腹部痛と血便を主訴に来院した.入院翌日の大腸内視鏡検査で,S状結腸に出血,浮腫と全周性および縦走性の粘膜壊死がみられ,虚血性大腸炎重症例と診断,経過不良のため第5病日から第12病日まで高圧酸素療法を施行した.発症3週後の内視鏡検査では,潰瘍底には結節状の肉芽組織の露出と所々に再生粘膜がみられ,周辺にはタコイボ状のビランも認められ,多彩な内視鏡像を呈した.5週後には潰瘍底は結節状の再生粘膜で被覆され,病変部は治癒傾向にあり,高圧酸素療法が本症の急性期の治療として有効と考えられた.