日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡検査にて観察された上部腹腔内癒着629例の検討
中嶋 俊彰岩井 眞樹岡上 武加嶋 敬佐野 敦辻 俊三香川 恵造奥野 忠雄
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1991 年 33 巻 1 号 p. 14-22

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抄録

当教室の腹腔鏡検査において上部腹腔内に癒着を認めた症例について,癒着の部位別に検討を行った.腹腔鏡検査施行2,205例中の629例(28.5%)に癒着を認めた.腹腔鏡検査不能例29例中17例(59%)が高度の癒着が原因であった.癒着例の約半数に腹部手術の既往があった.腹腔鏡検査後にも121例中40例(33.1%)で肝生検部位などに癒着が生じた.高度の肝疾患に伴って癒着の頻度が増加した.癒着例の約半数で,肝右葉より肝生検が可能であった.以上のごとく,腹腔鏡検査において高頻度に上部腹腔内に癒着が認められたが,高度な例を除いて肝臓の照診や肝生検には支障がなかった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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