日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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急性出血性直腸潰瘍の6症例
重松 忠米田 充山上 正仁松本 高士玉垣 俊幸赤松 尚明加藤 一晴岡森 博史鳥居 幸雄小野 紀弘福山 一郎岡島 純一郎
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1991 年 33 巻 1 号 p. 97-102_1

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抄録
 最近われわれは突然の無痛性新鮮下血を来した直腸潰瘍の6症例を経験した.症例は男性3例,女性3例であり6例中5例は70歳以上の高齢であり平均年齢は68.3歳であった. 3例は大量下血のため,急性循環不全を来し,その内2例はヒートプローブによる止血処置が必要であった.内視鏡所見は1例は孤立性,5例は多発性不整形の潰瘍であり,占拠部位は歯状線より2~6cmであった.的確な止血処置が得られれば予後は良好であり,死亡例はなく,また潰瘍も全例58日以内に治癒した.経験した6症例は脳梗塞2例,慢性気管支炎1例,不明熱1例,膵炎・肺炎合併1例,多臓器障害1例とすべて重篤な基礎疾患があり,また宿便および,浣腸・摘便などの物理的に潰瘍を誘発する因子を認めず,さらに上部消化性潰瘍などの様に攻撃因子の存在しない直腸においては,成因としてストレスによる急性粘膜虚血が疑われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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