日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)における早期合併症とその対策
伊吹 康良平佐 昌弘工藤 正俊織野 彬雄藤堂 彰男
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1991 年 33 巻 11 号 p. 2394-2401

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抄録
 当院でのESTの経験と共に文献的考察を加えてESTの早期合併症とその対策について検討した.EST施行例は142例で,うち6例にPrecutを行い,135例の切開に成功した.早期合併症は,出血7例,膵炎4例(1例手術),後腹膜気腫1例,総胆管穿孔1例(手術)で,死亡例はなかった.出血例は全例高齢者で,切開時に出血を認めなくともその後出血する例が多い(5/7例)こと,多くの場合Hb値は術後1~2週間後(平均8.5日)に最低となる事が特徴的で,術後のHb値のフォローは必須であると思われた.Precutは2例に膵炎を3例に高アミラーゼ血症を起こし,避けるべき手法であると考えられた.穿孔例では後腹膜へ漏れたガス像や造影剤を腹部写真やCT,超音波検査により早期診断することが重要で,その治療は,結石除去や十分な切開を行うことにより胆汁の十二指腸への流出を確保し,必要に応じ胆道ドレナージを行えば手術は回避できるとの報告が多い.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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