日本消化器内視鏡学会雑誌
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経内視鏡的細径超音波探触子MINIATURE ULTRASONIC PROBEの有用性の検討
藤村 寛相部 剛野口 隆義柳井 秀雄吉田 智治多田 正弘沖田 極
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1991 年 33 巻 5 号 p. 921-931

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抄録

周波数7.5MHz,最大径φ3.4mmの細径超音波探触子MINIATURE ULTRASONIC PROBEのPRO-TOTYPE-1およびPROTOTYPE-2(オリンパス社・アロカ社製)を使用し,切除胃標本を用いた基礎的検討,ならびに食道,胃,胆道系疾患計10症例を対象とした臨床的検討を行った.PROTOTYPE-1は画像の安定性および解像力の両者において臨床応用するには不十分であったが,PROTO-TYPE-2はラジアル走査式超音波内視鏡GF-UM3(7.5MHz)とほぼ同等の解像力があると考えられ,臨床応用可能と考えられた.MINIATURE ULTRASONIC PROBEの利点は,消化管においては,通常の超音波内視鏡では検索困難な領域(幽門部近傍)や通常の超音波内視鏡通過困難な高度狭窄症例の検索を可能とし,小病変に対しては直視下にPROBEの位置を確認しながら画像描出を行えるという点に存在した.また,胆道領域においては,胆管内腔からの病変部描出にアプローチできるため,超音波診断の新しい展開が期待できた.改良点としては,従来の超音波内視鏡に比べて画像の恒常性が劣ることと超音波ビームの到達深度が浅い事があげられた.なお,病変部に探触子を接触させて画像描出するためには,近距離音場を考慮して,先端バルーンを装着する必要があると考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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