日本消化器内視鏡学会雑誌
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全周性狭窄と下掘れ潰瘍を認めた直腸型クローン病の1例
日野 直紀山本 博脇谷 勇夫千先 茂樹土居 偉瑳雄矢野 慧
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1991 年 33 巻 5 号 p. 984-991

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抄録

症例は21歳,男性.昭和63年3月19日難治性下痢を主訴として入院.注腸X線・大腸内視鏡検査で直腸下部に全周性隆起とその口側に下掘れ潰瘍を認めたが,生検では特異的所見は得られなかった.またその他の消化管には著変を認めなかった.その後全周性隆起は敷石状となり全周性狭窄を呈した.また数回の生検でも特異的所見は得られなかったが,瘻孔と直腸・肛門周囲膿瘍を認めたため直腸型クローン病と診断した.保存的なコントロールが困難なため双口式人工肛門を造設した.その後サラゾスルファピリジン・ベタメタゾン・メトロニダゾール・アザチオプリン等で瘻孔は閉じ狭窄及び潰瘍は改善したため人工肛門を閉鎖し現在経過は良好である. 本邦報告21例についてみると非手術的診断は容易ではないが予後は良好で最近では保存的にコントロールされた例が増加している.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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