日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
実験的モデルとしてのhapten-induced colitisの内視鏡的経過観察
柴田 好蘆田 知史綾部 時芳垂石 正樹奥山 修見村上 雅則斉藤 裕輔北守 茂小原 剛原田 一道岡村 毅與志並木 正義
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 33 巻 6 号 p. 1122-1127_1

詳細
抄録
ラットの遠位大腸に,haptenである2,4,6-trinitrobenzenesulfonic acid(TNB)を注入することによって慢性炎症性変化を作成し,その変化を内視鏡的および病理組織学的に観察した.P.Morrisらの方法に準じ,TNB50mg/ml 50% ethanolを0.5ml経肛門的に注腸し,病変を作成した(TNB-ET群).対照として,50%ethanol単独投与群(ET群),TNB単独投与群(TNB群)を作成し観察した.内視鏡的観察はOlympus BF 3 C 20を用いて,自然肛門より7日毎に行った.TNB-ET群では,白苔を有し,深掘れ傾向のある潰瘍が生じ,4週以上にわたって持続する病変が形成された.組織学的には,粘膜下層を中心にリンパ球の反応が著明で,肉芽腫様病変の形成も認められ,内視鏡像,組織像ともヒトのCrohn病に類似する所見が認められた.ET群では軽度のびらん性の変化が形成されたが,2週間以内にほとんどが治癒した.TNB群では特に変化は生じなかった.これらの所見は,実体顕微鏡よりも内視鏡観察のほうが容易に把握できた.この実験大腸炎モデルは,作成が簡便であるだけでなく,内視鏡的に粘膜変化を観察できるので,炎症性腸疾患の病態解明に有用であると考える.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top