抄録
食道上部にみられる異所性胃粘膜"inlet patch"60例を対象に臨床的意義に関して検討した.上部消化管内視鏡検査での頻度は男4.0%,女2.6%,全体で3.3%であった.存在部位は深さでは切歯列より15~23cm,方向では1時から12時のどの方向にも見られ,1~2mm大の単発が多かった.生検組織の電顕では壁細胞が観察された.有症状例19例(31.7%)のうち症状の強い3例にヒスタミンH2-antagonistを投与し,症状の消失をみた.本症の臨床的な意義は,癌との並存病変の可能性があることはもちろん,下咽頭・頸部食道を中心とした諸症状の原因として,他疾患との鑑別診断の立場からも,1つのclinical entityなるものと考える.