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貝瀬 満, 梅田 典嗣, 松枝 啓, 正田 良介, 小坂 秀, 武正 勇一, 海野 潤, 和田 友則
1991 年 33 巻 7 号 p.
1349-1356
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
クローン病の活動性を簡便且つ的確に評価する目的で,開放性潰瘍の'容積'を反映する内視鏡的クローン病活動指数Endoscopic Activity Index of Crohn's Disease(EAICD)を考案し,その妥当性及び有用性を検討した.大腸型クローン病14例に対して延べ43回行われた大腸内視鏡所見から算出したEAICDは,従来用いられてきたActivity Index(AI)及び血沈と有意の相関を示したが,CRP及び白血球数との間には相関は示さなかった.AI上緩解,CRPなどの炎症反応陰性と評価された症例の約6割は開放性潰瘍を有し,EAICDにより活動性ありと判定された.すなわち,従来のAIや炎症反応は開放性潰瘍が存在するにもかかわらず緩解と判定する危険性があり,EAICDは病変の活動性をより的確に反映する鋭敏で有用な指標と考えられた.クローン病患者の治療法決定や多施設問における治療効果の比較において,EAICDは鋭敏かつ簡便な客観的活動性評価法となり得ると考えられた.
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中島 均, 棟方 昭博, 吉田 豊, 小館 史, 岩村 秀輝, 福田 真作, 樋口 茂樹, 斎藤 博, 馬場 滝夫, 千葉 理輔
1991 年 33 巻 7 号 p.
1357-1362_1
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
食道上部にみられる異所性胃粘膜"inlet patch"60例を対象に臨床的意義に関して検討した.上部消化管内視鏡検査での頻度は男4.0%,女2.6%,全体で3.3%であった.存在部位は深さでは切歯列より15~23cm,方向では1時から12時のどの方向にも見られ,1~2mm大の単発が多かった.生検組織の電顕では壁細胞が観察された.有症状例19例(31.7%)のうち症状の強い3例にヒスタミンH
2-antagonistを投与し,症状の消失をみた.本症の臨床的な意義は,癌との並存病変の可能性があることはもちろん,下咽頭・頸部食道を中心とした諸症状の原因として,他疾患との鑑別診断の立場からも,1つのclinical entityなるものと考える.
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川野 淳, 辻 晋吾, 林 暢彦, 辻井 正彦, 増田 栄治, 篠山 喜昭, 竹井 謙之, 道田 知樹, 吉原 治正, 石上 佳孝, 永野 ...
1991 年 33 巻 7 号 p.
1363-1368_1
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
電子内視鏡及び画像解析装置を用いて,粘膜血液量画像から潰瘍治癒速度解析の試みを行った.電子内視鏡画像の赤及び緑画像の各ピクセル毎の輝度を特定のアルゴリズムに従って画像間演算を行い粘膜血液量画像を作成し・潰瘍部分及び潰瘍周辺粘膜血液量の増加部分を各々ピクセル数として自動演算した.潰瘍部分の面積と潰瘍周辺粘膜血液量増加部分の面積比を,ulcer/hyperemic indexとして,潰瘍治癒との関連を検討した結果,本指標は,潰瘍発生後の時間経過とともにexponentialに減少し,片対数グラフ上にプロットすると本指標と潰瘍発生からの経過日数の間には直線関係(y=-0.218X+0.988,r=0.72,p<0.0002)が見られ,t1/2は1.2週であった. 以上の成績から本法により定量的,客観的潰瘍治癒速度の解析が可能となった.
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田中 松平, 大村 健二, 金平 永二, 宗本 義則, 足立 巌, 林 裕之, 道伝 研司, 渡辺 俊一, 大竹 由美子, 川浦 幸光, 岩 ...
1991 年 33 巻 7 号 p.
1371-1384_1
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
われわれは消化管粘膜表面に特定のパターンを投影し,その撮影画像を処理・解析することにより病変の三次元形状を定量的に計測するシステムの開発を行ってきた.前回報告した実験で,システムの基本的な構成はほぼ完成しているが,レンズの歪曲収差およびパターンエッジの検出誤りによる計測誤差が問題となることが判明した.今回,この2つの問題の解決をはかった.レンズの歪曲収差については,単純なモデルを用いて歪曲収差の補正方法を導出し,実際の計測において十分な補正結果を得ることができた.また,パターンエッジの検出誤りについては,投影パターンにカラースリットパターンを用いることにより検出誤りを減少させ,さらに誤りの修正を行う方法を考案した.パターン投影法による三次元形状計測を行うには,従来の電子内視鏡の照明装置に一枚のパターンフィルムとレンズ系を組み込むだけでよいため,比較的容易に実現が可能であると思われる.
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小林 正彦, 田尻 久雄, 福島 義隆, 川口 淳, 丹羽 寛文
1991 年 33 巻 7 号 p.
1385-1390_1
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
外径0.8mmの微細径膵管用ファイバースコープの接眼部に,CCDを内蔵した変換装置を装着することにより,膵管像を面順次式電子スコープ画像としてTVモニター上に得ることを可能とした.さらに任意の時点で写真撮影することも可能とし,従来の膵管用ファイバースコープよりも高画質の画像を比較的容易に得る事が出来るようにした.また膵管用ファイバースコープについては,従来型にみられた問題点である耐久性,操作性の面で改良を加えた.当システムを18症例に臨床使用し,13例(72%)で膵尾部または病変部位まで挿入し,観察可能であった.フィルム画像,VTR画像共に,得られた画像について,明るさ,色再現性,画質の点で検討を加えた.その結果はいずれにおいても従来のものよりも良好であった.今後は,アングル機構および解像力の一層の向上が必要であり,種々の方法を検討中である.
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多胡 卓治, 吉村 茂昭, 白井 善太郎, 鳥谷 裕, 真栄城 兼清, 有馬 純孝, 志村 秀彦, 中岡 幸一, 古川 浩, 小山 洋一, ...
1991 年 33 巻 7 号 p.
1391-1395
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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食道胃静脈瘤に対し予防的治療を行った174例および,緊急治療を行った60例の234例を対象に,食道胃静脈瘤の内視鏡所見と静脈瘤出血との関連につき検討を加えた.食道胃静脈瘤は内視鏡所見から,I-E:食道静脈瘤のみの症例,I-J:食道胃接合部からの連続する食道静脈瘤を有する症例,II-C:胃噴門小彎から連続する食道静脈瘤を有する症例,II-S:食道静脈瘤とともに食道胃接合部を取り巻くように存在する胃静脈瘤を有する症例,III:胃穹窿部に静脈瘤を有する症例,の5型に分類した.静脈瘤出血の頻度は,I-E型16%,I-J型19%,II-C型33%,II-S型43%,III型41%であった.また出血部位別にみると,食道静脈瘤出血は,I-E型16%,I-J型10%II-C型14%,,II-S型14%,III型19%に認められ,静脈瘤所見による差はなかった.食道胃接合部以下に出血点を認めた症例は,I-J型9%,II-C型18%,II-S型29%,III型31%であり,胃静脈瘤が著明になるほど胃静脈瘤出血の危険性が高かった.従って,胃静脈瘤とくに穹窿部静脈瘤合併例ではHassab手術などの積極的予防的治療が必要と考えられた.
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宮崎 亮, 池田 靖洋, 吉本 英夫, 眞栄城 兼清, 黒田 雄志, 古田 耕, 岡本 潔, 中山 吉福, 志村 秀彦
1991 年 33 巻 7 号 p.
1396-1401
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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総胆管巨大結石に対する試作バルーンカテーテルを使用した経乳頭的電気水圧衝撃波砕石法(EHL)を4例に施行し良好な成績を得た.内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開(EST)後,試作カテーテルの内腔を通したEHLプローブを透視下に総胆管結石に接触させ,通電・砕石する.バルーンによって電極が胆管壁に接触するのを防ぐのが特徴である.本法は,ESTによる総胆管結石摘出の適応拡大に寄与するものと考えられる.
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村上 晶彦, 狩野 敦, 鎌田 広基, 滝川 康裕, 加藤 智恵子, 中村 義行, 加藤 隆幸, 鈴木 一幸, 佐藤 俊一
1991 年 33 巻 7 号 p.
1402-1406_1
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
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症例は80歳女性.1986年7月に右季肋部痛を主訴に来院した.同年7月28日総胆管結石のためESTを施行したが,十二指腸乳頭憩室を認めた他には乳頭部には異常を認めなかった.EST後バスケットカテーテルにて総胆管結石を排石した.この時乳頭部の生検は行っていない.その後1988年1月に虫垂原発のcystoadenomaで手術している. EST施行後2年7カ月目の1989年1月に右季肋部痛と発熱にて入院した.入院時検査成績では,T.Bil.1.8mg/dl,ALP51.2KA,GOT65IU,GPT46IU,γGTP502IU/l,血清アミラーゼ200IU/1,尿アミラーゼ904IU/l,白血球5,800mm
3,Hb9.3g/dlと貧血と肝機能障害を認め,CEA3.1ng/ml,CA19-9130U/mlと腫瘍マーカーの上昇をみた.上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部に出血を有する腫瘤を認めた.7.2Frの両ビッグテール型のエンドプロステーシスを腫瘤をこえて挿入し,後日,もう1本挿入して2本でEBDを行った.乳頭部の生検では乳頭状腺癌であった. 高齢である事,糖尿病,脳梗塞,左太腿骨頸部骨折の合併症のため手術を断念し,EBDで胆汁ドレナージした.しかし8カ月後に死亡された. EST後2年7カ月目に十二指腸乳頭部癌が発見された1例を報告した.
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佐伯 剛, 福田 二代, 井上 修一, 工藤 進英
1991 年 33 巻 7 号 p.
1409-1416_1
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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大腸のリンパ管腫は比較的稀な疾患であり,われわれの2症例を含めて,本邦報告例は128例で,そのうち内視鏡的ポリペクトミーで摘出したのは40例であった. 最近われわれは,上行結腸リンパ管腫の2例を経験したので報告する.症例1は77歳男性,排便時不快感を主訴として来院,症例2は59歳男性,下腹部痛を主訴として来院した.注腸X線検査では,上行結腸に境界鮮明,平滑,X線透過性の高い,体位変換にて容易に変形する陰影欠損を認めた.大腸内視鏡検査では,症例1は周囲粘膜と同じ色調を呈し,また症例2では,灰白色調を呈する腫瘤を認め,いずれも柔らかく波動性を有し,生検鉗子による圧迫にてCushion signを認めた.内視鏡的ポリペクトミーで摘出し,それぞれ大きさは1.5×1.0cm,2.0×1.5×2.0cmで,病理学的には嚢胞性リンパ管腫と診断した.
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高尾 雄二郎, 松本 恒司, 斎藤 治, 島本 史夫, 林 勝吉, 高田 興, 中川 憲, 前村 憲太朗, 岡 成樹, 浅田 修二, 平田 ...
1991 年 33 巻 7 号 p.
1417-1423
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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患者は30歳男性.昭和58年に潰瘍性大腸炎を発症しsalicylazosulfapyridineの投与にて寛解状態を維持していたが,昭和60年5月,再び粘血便及び多数の口腔内・頭部の膿胞が出現したため入院となった.大腸内視鏡検査では活動期の潰瘍性大腸炎の所見を認めた.頭皮には小膿胞に疣状増殖が連続し広い増殖面を形成する病変が見られた.頭皮生検で好酸球,好中球からなる表皮内膿瘍を認め,螢光抗体染色法により表皮細胞間にIgGの沈着を認めたことからHallopeau型増殖性天疱瘡と診断した.prednisoloneの投与により,粘血便は消失し,また同時に皮膚病変の改善が見られた.潰瘍性大腸炎とHallopeau型増殖性天疱瘡との合併例の報告はこれまでみられない.いずれの疾患もその病因として自己免疫的な機序が関係するとされており両者の合併は非常に興味深い.
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崎村 恭也, 半田 祐一, 三好 和夫, 佐藤 忠敏, 兼子 耕, 内田 信之, 佐野 義明
1991 年 33 巻 7 号 p.
1424-1434_1
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
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潰瘍性大腸炎に合併した早期結腸多発癌の1例を報告する.患者は46歳女性,1982年に血便出現,近医で潰瘍性大腸炎の診断を受け,以後サラゾピリン,プレドニゾロンで加療され寛解状態が維持されていた.1985年転院を契機に注腸及び大腸内視鏡検査を施行したところ,全結腸型潰瘍性大腸炎(活動性)の所見と肝彎曲部に径2cm大の隆起性病変(高分化腺癌)が認められた.全結腸型潰瘍性大腸炎に合併した結腸早期癌と診断し,大腸全摘術,回腸瘻造設術を施行した.組織学的検索でm癌6個,sm癌2個,計8個の癌病巣を認めた.癌は隆起型を示すcarcinoma in adenomaと,陥凹型,平坦型を示すものとがあり,組織学的にも高分化型から低分化型までと多彩であった.癌病巣の周囲にはdysplasiaがあるものがあった.病理組織学的検索と切除固定標本,内視鏡写真とを比較検討した結果,陥凹型の癌は切除標本では浅い陥凹として,内視鏡写真をretrospectiveにみることにより陥凹性病変の一部を確認する事が出来た.本例は潰瘍性大腸炎と癌の発生の関連(特にdysplasiaとの関連)が示唆され,陥凹型癌であるという形態学的特徴が癌の発生に関して多くの問題を提起しており,興味ある症例であった.
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藤:森 芳史, 赤松 泰次, 宮原 秀仁, 松田 至晃, 松沢 賢治, 牛丸 博泰, 大和 理務, 武川 健二, 上条 寿一, 古田 精市
1991 年 33 巻 7 号 p.
1435-1441_1
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
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症例は59歳男性.食欲不振を主訴に受診し多発性の胃ポリープ,四肢の爪甲変形より,Cronkhite-Canada症候群と診断した。大腸には小ポリープを数個認めたのみで,禿頭,色素沈着はなく,典型的なCronkhite-Canada症候群に比べ,不全型とも言える病態を呈していた.治療としてステロイド剤の投与を1カ月間行なったが症状は改善せず,抗プラスミン剤とH
2プロッカーの追加投与を行ったところ症状の改善が認められた.
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 7 号 p.
1442-1615
発行日: 1991/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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