抄録
肝門部悪性胆管狭窄におけるERBDの有用性と問題点を明らかにするために64例をretrospectiveに検討した.減黄効果は施行前肝機能,原疾患,狭窄形態と関連を認めず,肝内の小区域しかドレナージできない位置にステントが挿入されたC群で不良例が多い傾向を認めた.ERBD後の胆管炎は1カ月以内で37.3%と高率に認めたが,原疾患,狭窄形態,ステント挿入部位別に差を認めなかった.早期死亡例(1カ月以内)は9例に認めたが胆管炎による死亡例はなく全例TypeIIIの症例であった.50%生存期間は胆管癌155日,胆嚢癌119日,Type II242日,TypeIII131日で,年齢別,ドレナージ効果別に生存率に有意差が認められた.施行後2カ月間の経過をみるとC群で経過不良例が多い傾向を認めた.肝門部狭窄では肝左葉ないし右葉の前後区域のいずれかをドレナージ可能な位置にステントを留置できればERBDは比較的有効であるが,胆管炎の発生には十分注意すべきである.