日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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経皮内視鏡的胃瘻造設術の長期観察例における問題点
―呼吸器感染症と胃排出機能における検討―
小川 滋彦鈴木 文子森田 達志小市 勝之田中 功山田 隆千道伝 研司川浦 幸光増永 高晴竹田 康男竹田 亮祐川上 究川岸 一郎松井 晃
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1992 年 34 巻 10 号 p. 2400-2408_1

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抄録

 1987年より経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を施行し,1年以上観察しえた21例を対象として,呼吸器感染症および合併症の見地より検討し,さらに9例に対し胃排出機能の2年間における変化を検討した.平均胃瘻留置期間は24.9カ月であった.PEG前,呼吸器感染症は18例に認め,16例(88.9%)においてPEG後一旦改善したが,3例において長期観察中に胃食道逆流(GER)を伴って増悪した.胃瘻部局所の合併症は6例に認め,5例において瘻孔が使用できなくなったため,別部位に再造設する必要があった.核医学的胃排出機能検査法を用いて胃排出機能の経年変化を検討しえた9例において,2年後には胃排出機能は低下し,特に再造設した5例において顕著であった.また,胃排出機能が著明に低下した1例においてGERが出現した.以上より,PEG長期観察例とくに再造設例では,胃排出機能が低下し,GERを来す可能性が示唆され,臨床上,留意すべきと考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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