1992 年 34 巻 10 号 p. 2393-2399_1
総胆管の充満結石6例および巨大結石4例を経皮経肝胆道鏡(PTCS)下に電気水圧砕石器(EHL)で砕石した治療成績を検討した.内視鏡的乳頭切開術(EST)のみでは結石を除去できなかった8例,ESTを行い得なかった2例を対象とした.結石はEHLで破壊後,十二指腸へ押しだすか,十二指腸鏡下にバスケットカテーテルで排石する方法をとった.成功率100%,PTCS下EHL操作の回数は平均3.2±2.7回,十二指腸内視鏡下のバスケットカテーテルでの排石操作の回数は1.3±2.0回,入院期間は74±30日であった.早期合併症として胆管炎,鬱血性心不全,瘻孔作成中の出血が各1例ずつあった.後期合併症として胆管の炎症性狭窄が1例で生じ,胆管炎で死亡した.術後10カ月から39カ月の経過観察中に総胆管結石の再発が見られたのは1例のみであった.充満結石や巨大結石にたいしPTCS下の砕石は有効であると考えられた.