抄録
症例は62歳,男性.集団検診で便潜血反応陽性を指摘され,二次検診の大腸内視鏡検査で下行結腸に腫瘍が認められ,当科に紹介された.当科での大腸内視鏡検査で下行結腸に表面平滑,分葉状で内腔をほぼ占拠する腫瘍を認め,生検から悪性リンパ腫と診断した.注腸造影では下行結腸に約12cmにわたる壁の不整,腫瘍像を認めた.手術は腫瘍が膵尾部近傍の脂肪織まで浸潤していたため左半結腸切除,膵尾部・脾合併切除術を施行した.摘出した腫瘍は13.5×10.5×5cm大で赤色調,表面平滑,比較的軟らかく潰瘍形成はなかった.組織学的にはnon-Hodgkin lymphoma, follicular, medium-sized cell type(LSG分類)で,免疫組織化学染色上はλ,IgMのmonoclonal B cell lymphomaであった.患者はその後35カ月間再発なく生存中である.大腸原発悪性リンパ腫の好発部位は盲腸と直腸で,下行結腸は極めて稀であり著者らが調べ得た限りでは本症例が本邦で6例目である.