抄録
7例を対象に,経口胆嚢鏡(以下POCCS)の胆嚢内挿入,および観察における問題点について検討した.胆嚢結石5例,胆嚢癌1例,アデノミオマトーシス1例で,このうち6例は,ESTによる総胆嚢結石戴石術後の症例であり,他の1例はPOCCSを目的にESTを行った.親子方式で子スコープを胆管内に挿入後,直視下に胆嚢管を介してガイドワイヤーを胆嚢内に挿入,次いで子スコープを胆嚢内に進めた.5例で子スコープの胆嚢内挿入が可能で,このうち2例では,カテーテルを用いての操作を要した.挿入不能であった2例中1例は,ガイドワイヤーの胆嚢内挿入は可能であったが,拡張用カテーテルが先進せず,また他の1例はガイドワイヤーの胆嚢管通過が困難であった.胆嚢内の観察にあたっては,近接で粘膜の血管透見像,fine reticular patternが明瞭となったが,遠景の観察,撮影においては,光量がやや不足する傾向にあった.