夏季の北海道太平洋沖陸棚斜面のキチジ小型魚は主にヨコエビ類が高密度で生息する襟裳岬東沖水深 550~750 m に,中型魚は調査海域の中ではフタトゲエビジャコの密度が高い浅い水深帯に集中していた。大型魚は調査海域に広く分散しており,この行動は餌をめぐる種内・種間関係を軽減させ,餌を効率よく獲得する戦略であることが示唆された。深い水深帯ほど肥満度 K と肝臓重量指数 HSI が低かったのは,主要餌種の栄養価の違いに起因すると考えられた。中型魚の K と HSI が低かったのは,体長増加の急な時期であるためと推察された。