抄録
Helicobacter pylori(H.pylori)感染の診断に関して種々の検査法が開発されているが,各々長所と短所を有している.今回われわれは,胃液中アンモニア濃度がH.pylori感染のスクリーニングに有用であるか否か,またその判定に影響を与える因子につき検討した.対象は上部消化管内視鏡検査を施行した126例で,培養あるいは組織学的検索のいずれかでH.pyloriが同定された症例を陽性とした.その結果,胃液中アンモニア濃度が5.0mg/dl以上の症例は全例H.pyloriが陽性であり,5.0mg/dl以上をH.pylori陽性とした場合の感度は87.6%,特異性は100%と良好であった.また,胃液中アンモニア濃度が5.0mg/dl未満のH.pylori陽性例は,高齢者の比率が高く,かつ組織学的に腸上皮化生の程度が強かったが,陰性例では若年者の比率が高く,腸上皮化生は軽微であった.以上の成績より胃液中アンモニア濃度測定は簡便,容易,迅速でH.pylori感染のスクリーニング法として有用であると考えられた.