日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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悪性胆道狭窄に対するStrecker-stentの使用経験
―特にstent閉塞機序の検討を中心として―
松本 太一三多田 秀樹西原 徳文橋村 直隆東野 健中島 周三高島 哲哉本合 泰安達 岳似福本 信介野村 俊之安住 治彦塩崎 道明竹田 喜信大柴 三郎天津 孝
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1993 年 35 巻 3 号 p. 498-504_1

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抄録
 閉塞性黄疸症例に対するStrecker-stentの適応および有用性について検討した.対象は閉塞性黄疸12例(胆管癌6例,膵癌3例,胆嚢癌2例,残胃癌1例)である.2例は経十二指腸的に,10例は経皮的にstentを留置した.観察期間は3~43週間で,胆管癌の1例では留置43週後の現在でも黄疸の再発を認めていない.しかし1/3にあたる4例では再閉塞による黄疸が数週間以内に出現した. 再閉塞機序を確認し得た3症例の内,胆嚢癌症例ではstent内腔は保たれていたが,乳頭部への癌浸潤による再閉塞であり,胆管癌2症例ではmeshの間隙からの腫瘍増殖による再閉塞であった.Strecker-stent留置後の経過観察期間は短く従来のstentとの比較,各疾患別による開存期間を評価することは現時点では困難であるが,数週間以内の再閉塞症例が1/3にみられたことより留置対象・stent長の検討およびstentの改良・集学的治療の考慮等が必要と思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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