日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
出血性胃潰瘍の潰瘍底所見の検討
林 伸行林 隆一斎藤 祐一郎遠藤 茂夫新美 忠勝鈴木 毅文森瀬 公友堀内 洋
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 36 巻 1 号 p. 16-20_1

詳細
抄録

消化管出血を主訴に入院した胃潰瘍症例177例の潰瘍底所見を,205例の外来胃潰瘍例の潰瘍底所見とともに検討した.潰瘍底に認められた所見を(1)活動性出血,(2)凝血,(3)限局性隆起,(4)色素点,(5)白苔の5つの型に分類した.潰瘍底が白苔のみ,薄い凝血,色素点,白苔と同色の白色隆起を示す例では再出血はなかったが,厚い凝血例には再出血例がみられた.再出血の危険が少ないとされている白色隆起のうち,中心に凝血のある白色隆起,淡赤調を帯びた透明感のある白色隆起は再出血に注意すべきと考えられた.また,出血の原因となった動脈が潰瘍底から突出せず,隆起した部分は凝血のみからなる場合があると考えられた.出血胃潰瘍では潰瘍底の所見に十分注意して内視鏡的止血法を行なうべきであると考えられる.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top